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「ブロスナン・ボンドを解析！」・・・
「００７ ダイ・アナザー・デイ」 桑島まさき
シリーズ１作目が作られてから40年。シリーズものでこれほど作られ続けているのはそれ自体価値がある。ほとんどの作品が３作目
あたりで一応の区切りがついているというのにだ。言うまでもなくそれは「００７」ことボンドのキャラクターに負うところが大きく、
世の男たちがボンドに見果てぬロマンを見るのであり、女たちは紳士で強くて都会的なセンスがありカッコいいボンド像に現実の男たち
には見出せない夢を見るからである。どんなに映画や芝居のイニシアティブがアメリカに移行したとて、なにせイギリスはシェークスピアを
生んだ国でありボンドがいる。これらがある限りイギリスの演劇や映画が廃れることはないだろう。
さて、公開されたばかりの本作だが、既に諸々のメディアで書かれたきたように、シリーズ誕生40周年という事情もあり過去のシリーズへ
のオマージュがあり、国力を誇示するかのような秘密兵器の使用、度肝を抜くアクションシーンがのっけから始まりこれでもかとばかりに
連発され、「イギリスに００７あり」と高らかに謳い上げたような快作である。やっぱ、娯楽映画はこうでなくちゃね！ スリリングな展開、
次々と移動するグローバルなロケ地、魅力的な役者、ド派手なアクションシーンの数々。世知辛い現実を逃避して高い映画料金を払って劇場を
訪れた人々は、間違いなく虚構の遊び場である本作をを心ゆくまで堪能できるだろう。
既存の作品になかった試みとして、ボンドがのっけから仲間に裏切られ14ケ月という長い歳月投獄されるという設定の意外さがある。これは
どんな危機にあってもジョークを飛ばす悠長さで難題を切り抜けてきた「不死身の男」＝ボンドではなく、あまたの人を殺したってどんな最新
兵器も自由自在に操作できる万能なボンドでも、人間を見抜くことは容易ではないという根源的な本質をついていて、「生身の男」＝ボンドと
して描かれている点が興味深い。つまる所「悪」が力を発揮するのは人と人との関係性によるところが多いという普遍的なテーマを盛り込んで
いるのである。
その人との関係性についていえば、今回の敵は偉大な将軍である父との確執に悩む北朝鮮の若き大佐が、そのコンプレックスゆえに途方も
ない悪行を企む訳だが、これも「悪」＝「冷酷無比な怪物」といった類型化した設定になっていない点が従来にはない斬新さを感じると共に、
結局のところ「人間愛」なんだよな、と感じ入ってしまうのだ。
ボンド像として見逃せない「女にモテる」「女大好き」な性質はエスカレートし、きわどいジョークを連発し自分から誘っている点が
見逃せない。例えばジンクス（ハル・ベリー）とハバナで会った時、「日没後は何をしているの」「飢えを満たす、一晩中無我夢中で」と
ニヤリと誘いの言葉で成功。
きわどさで言えば、終盤、見事な景観のショットが映しだされ陶然としていたら姿はなく「ダメよ、まだヌかないで」
「もうしばらく」という会話が流れヒヤリとしたが、格闘の末、手にしたダイヤをベリーのヘソにいれて遊んでいるシーンだとわかりホッ。
シリーズの新しい趣向（？）を感じさせられた。
ところでボンドは何でこんなにモテるのか？ 原作のボンド像とブロスナンが演じているボンド像に多少のイメージの差異はあるようだが、
ボンドは年齢的には中年の域に入るオジサンであり、女性蔑視の風潮が強かった時代に育った男の一人なのである。にもかかわらずボンドは
女に優しい。美しいものが大好きな女性賛美者であり、女心を理解し尊重しようとするフェミニストだ。特定の女はいないので好みの女は
拒まず楽しんでいるようだが女たちを大切にするので恨まれることもない。騙された女でも殺されると慈悲深く女との楽しい時間を懐かしむ
かのように愛撫する。危機一髪ジンクスを救いだした時も「助けにくるのが遅いわ」と感謝の言葉ではなく非難（可愛いが）を浴びても
「ゴメンよ」と寛容に答える余裕をもった懐の大きい男なのだ。
５代目ボンドとなったピアース・ブロスナンには４作目となる本作。初回は心配して観ていたが実年齢的にも風格が出て、
回を重ねるごとに肩の力を抜いて楽しんでいるかのようにハマってきた。ボンドを演じた結果だとしたら役者冥利に尽きるというしかない。
＊３月８日より 全国松竹・東急系にて公開中
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−その補足−>>
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００７/ダイ・アナザー・デイ の 面白み
&
おそまつ作業 ***
SEIJI IWAI
公開前よりの情報で今回はショーン・コネリー時代再現であるとの事。更にマドンナの歌う歌を翻訳する
と、１８禁的な歌詞。本編でシリーズ初の本格的・男と女の性器挿入動作シーン。
字幕の戸田奈津子(歌の字幕除く、本編の字幕担当)さんも考えた風です。
レコード会社の歌の字幕は、全く別の日本語字幕であったし、初期の時代の男の香り
プンプン、大人のお色気グラマー美女の頃のムード再現の、大人の為の００７が、字幕は、中学生程度の
回避的な字幕が付いていました。大学で語学を学んだ、学んでいる人ならば、オープニングの恐怖は、
マドンナの生死さまよう緊縛した歌詞＋拷問場面は、「ハンニバル」的恐怖の幕開けだった事、
セックス場面その他等では、過去の００７へのオマージュ・トークが幾つも有ります。
字幕的には１８禁の今回の００７なのです。丁度｢ルパン三世｣１ST−ＴＶシリーズと同様ですね。
近日公開・来日の「シカゴ」の様に網タイツやストッキングは、有りませんでしたが．．．。
私はボンドカー・コレクターであり、透明になるアストンマーチンが大々活躍。満足大でした。
JAMES BOND WILL RETURN IN ... JAMES BOND WILL RETURN IN ...
それに、しましても、次回作は、ブロズナンでも良いですね。ヴァンキッシュは、第２のエスプリ車 !!
その点で、桑島さんと観方が同様ですね。
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＊(解説)エスプリ車・・・００７／私を愛したスパイ、００７／ユア・アイズ・オンリーに登場のボンド・カー。
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