"TO CRY 100 TIMES FOR SOMEONE"（2013年・ショウゲート・日本国）(題訳:「 １００回泣くこと」）

監督・廣木隆一　　脚本・高橋泉　　原作・中村航（小学館文庫刊）　　音楽・上田禎　　主題歌・関ジャニ∞「涙の答え」

主演 大倉忠義、桐谷美玲

本作はベストセラー文芸作の映画化で有るのだけれども、最終章は一切描かれていない。主人公・藤井の仕事エピソードは、

僅かで、代わりに、ハワイでの再会エピソードが追筆。しかも結婚式シーンは友人の式に参加しているだけ。

病床シーンも少なめに綴られている。友人・家族を含む周囲の人々の２人への気持ちがクローズアップで描かれ、涙を誘う。

小説の「箱の中身」エピソードは、劇終了後エピソードとして、小説だけで語られる。

劇中サウンドトラックは生活雑音９０％と会話と表情だけなので、昔の本格オフ・ブロードウェイ演劇が堪能出来る。

本作はライアン・オニールとアリ・マックグロウの「ある愛の詩」のコテコテのラブ・ストーリーでは無い。

一瞬一瞬を如何に過ごすべきかを話し合って生き過去をも生きている間に修復する、何を残すのかが描かれている。

１冊のスケッチブックを二人で完成させて行く。７０年代日本映画の如く、静かに淡々と、切なく描かれる。

同じ景色を観て同じ人達に会う。少しでも気持ちを近づけたくハワイの虹の事や犬のブックの事を愛する。

小説題「１００回泣くこと」の意味は、小説最終章にのみ登場する。今日があの日から数えて１００日目の日だった。と言うところから付けられている。

●今現在の邦画作品ベスト５、「東京家族」「みなさん、さようなら」「舟を編む」「１００回泣くこと」「旅立ちの島唄」●

是非、お近くの劇場でこの感動作を御覧下さい。そして、

−編集長・記−